2025年7月20日日曜日

黛まどか 特別講座




特別講座「戦時下の俳句 ウクライナそして日本」

の講座を聴きに出かけました。この講座の会場は、名古屋学院中・高校舎

私は今までこのセミナーを知らなかったのですが、

私学の生徒たち、先生方、保護者、スタッフの運営で開催されているようです。

大勢の一般の人々が講座を聴きに来ていました。

昨年は俳句甲子園で名古屋学院高校が優勝しました。

キャンパス内での写真は遠慮しました。講座も録音録画不可

黛まどか氏講座 私のメモから

いま世界は戦争の時代に入ったと言っても過言ではない。

その中で70か国以上が俳句に親しんでいる。

俳句は花鳥諷詠と言われるが根幹には「他者の命・人の命を大事にする」ことにある。

ジョン・レノンの言葉に

「すべての虚飾を取り払った後には、真実が残る。俳句は詩の形式の中で一番美しいものだと思う」があり、実際その後「LOVE」「IMAGINE」の曲を作った。

まどか氏

俳句は引いて削ぎ落す、物言わぬ文学、沈黙の文学と言っても良い。

引き算の上に成立している。

生け花、茶道、日本料理、他の文化でも「余白」を最上としている。

コロナ後、人間が籠っている間にも、自然の命の循環のダイナミズムは継続していた。

これほど命と向き合ったことはない。

「Haiku for Peace」

京都俳句プロジェクトを立ち上げ、のべ21言語で6800人と句会を行った。

フランス語圏とのネット句会で「若葉」の題に対して、欧州の人は「雨」の句が多く日本人は「光」を詠んだ句が多かった。

平和を詠んだ句(年齢は3ー4年前)

北窓を開き真白き鳩放つ  88歳の方の句

一本の大樹明るし百千鳥    21歳の句

 命がひしめき合う大樹、多様性と言わず多様性が感じられた。

政治家や著名人の俳句紹介。

国境で待つ人々に風薫る   林芳正

満開の花に彼の地の友想ふ  河野太郎

こども等の明日を奪ひてかぎろへる   隈研吾

ラケットを一振り冬の空晴るる  上地結衣 車椅子テニス選手

青い星一人一人が乗組員  山崎直子 宇宙飛行士

ウクライナの人の句 黛さん他協力者が日本語訳の俳句に直した。

真っ青な空がミサイル落しけり

兵のやうに新樹の並び立つ

雨に転がる血まみれの小さき靴

街の灯の消えハルキウの星月夜

地下壕に紙飛行機や子らの春

俳句によって「絶望の淵にありながら、心を生に向けている。息継ぎをするときも」

「自他救済」である。

戦時下の俳句も紹介された。 私のメモの字が読めないので解読できたものを書きます。

戦争が廊下の奥に立つてゐた  渡辺白泉

火の奥に牡丹崩るるさまを見つ  加藤楸邨

堪ふべしと母は堪えにき京鹿の子  及川貞

夕立の洗ひ出したる骨拾ふ

原爆に焼けし乳房を焼けし子に

蟬鳴くは正信ちゃんを思い出す

弟の真っ白いシャツが眼に残る

弘子ちゃんまた姉ちゃんと遊びましょう

片蔭に休らへる如くゐて死せり

広島や一燈もなく天の川

シベリア抑留者の間でも句会があった

『続シベリア俘虜記』

橇を曳くけだものめきて声あはせ

咳すれば森の深さの身に返る

死に水も凍りて飲めず捕虜ゆける

雁帰る捕虜にかかわりなきごとく

ウクライナ大使と会い、大使は俳句や寿司など日本の文化を中学で教わったそうである。

文化支援の重要性を仰り、戦時下に文化が置き去りにされては勝利はないと。

5分前には視聴覚室に入場し、講座後にお買い上げの本にサインをしてくださいました。

お顔の小さい美しい若々しい黛まどかさんでした。

追記 

三行詩直訳から俳句へ

飛び去る 風に乗る桜のように 親しい人たち

→ さくらさくら離れ離れになりゆけり

風に揺れている 引き裂かれたカーテン 蝶が飛ぶ

→ 引き裂かれしカーテン夏の蝶よぎる

公園に 兵士何度も触れる からっぽの袖

→ いくたびも腕なき袖に触るる兵

飛んでいるようだ 太陽の輪に向かって 野生のガチョウたち

→ 日輪へ水鳥翼拡げたり


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