あれから10年近く経ったのだと思うと感慨深いものがあります。
平成19年刊行。まだ会員でした。
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初 鏡
万緑にせり出す寺の大舞台
蠅帳に薬残して逝かれけり
犬の仔の貰はれてゆく今朝の秋
色変へぬ松みづうみに枝伸ばす
日に乾くかすかな音や稲架襖
銀杏を拾ふ銀行街に住み
縫ひ直す母の小袖や冬ぬくし
初鏡父似の眉をととのふる
萬斎の舞台へ低き咳こぼす
地球儀に戦禍の地あり煤払ふ
根深汁掌にやはらかき木地の椀
富士真白バレンタインの朝晴れて
酢の蔵の小さき天窓日脚伸ぶ
絵付場の玻璃打つ雨や著莪の花
雨音にしづもる窯場竹の秋
年代順か忘れましたが
校正時に一句目と二句目を入れ替えていただいた記憶です。
こうやって振り返ると
何だかあまり成長していないような気も・・・