高野ムツオ ゲスト 小川軽舟、谷さやん、モーリーロバートソン 他
「会う」は題として難易度高い
暑さ明け会う人と語る火星の水 〇 モーリー
暑さが明けたので火星の水も澄んできたのかな(さやん)
中八字余りが詰まっている感じ「会えば語ろう火星の水」と呼び掛けても良い(小川)
季語が気になった「涼新た」などが良かったか。魅力的な題材(高野)
暑さは明けないのでは。
季節が二つになったのかと思いながら地球は火星に向かっているのか。
来年50℃になるというニュース。地球はどうするのか。(モーリー)
とんぼうがとんぼうと会う豊の秋 ◎〇 高野
赤とんぼは群れているが、シオカラトンボなど単独で飛んでいるトンボが出合った楽しさ
とんぼうという言い方も間が抜けているようで親しみやすい(小川)
「と」の韻もうまくいっている「とんぼう」とはあまり言いたくないが。(高野)
季語が三つで季語が決まりすぎ(さやん)
名月や心だけ里会いに行く 〇 かわにしなつき
ふるさと奈良の月は大きい
東京にいるけれど故郷の月を見に生きたいという気持ち(かわにし)
心だけ、で、軽い切れがある、会いに行きたいけど会えない。
全部が一つづつバラバラな感じ。「心は里へ会いに行く」と調べをよくすれば(小川)
「心だけ里」だけが不安定。お行儀が良すぎるか(モーリー)
「会いに行くのは心だけ」(高野)
会へば行く店あるふたり秋の宵 ◎〇 小川
なかなか会えない二人。決まった店があるのは良い関係(さやん)
堂々と会えない人に会うのか。昼は無理なのか(モーリー)
シチュエーションが曖昧なのが気になった。
たぶん男同士か。秋の宵は居酒屋へ行くのにぴったりすぎるか(高野)
「こういう友達ほしいなと思って」(小川)
黒葡萄洗えばこぼれ会いたいなあ ◎◎◎〇 谷
口語のつぶやきがカッコよかった 洗っていたら零れていった
会えない人に会いたいと思う気持ちとぴったり(小川)
主観「会いたい」は俳句では行わないことを黒葡萄に託して言ったことがよかった
黒葡萄は巨峰やマスカットではない小さいのが良い(高野)
黒葡萄がぽろっと零れて穴が開いたところに気持ちを寄せた。
音声(濁音)が前半にあるところが良い(モーリー) 素晴らしい鑑賞と、小川
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小川氏は終始落ち着いた語り口で問題のある句も褒めてから、こうすればどうかと
よい添削例を出してくださる。
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特選句 高野選
三席 会うて先づひつつき虫を摘(と)り合ひぬ
二席 星座盤まはして母と会ふ夜長 押見げばげば
一席 久々に会ふ白息をぶつけ合ひ
約束をして会った友達だろう。「久々に」の出だしも良かった
「ぶつけあう」友情がが良い
その他の特選
地下で会い地下で別れる温め酒
会へばまた会つたで揉めて芋煮会
レコードや十五の吾に会ふ夜長
夢に会ふ夫は逞し霜の菊
やまひ得て出会ひし友や鰯雲
亡き父に会ふマフラーの匂ひかな