2016年7月6日水曜日

十周年記念伊吹嶺俳句集より

あれから10年近く経ったのだと思うと感慨深いものがあります。
平成19年刊行。まだ会員でした。

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   初 鏡              

万緑にせり出す寺の大舞台

蠅帳に薬残して逝かれけり

犬の仔の貰はれてゆく今朝の秋

色変へぬ松みづうみに枝伸ばす

日に乾くかすかな音や稲架襖

銀杏を拾ふ銀行街に住み

縫ひ直す母の小袖や冬ぬくし

初鏡父似の眉をととのふる

萬斎の舞台へ低き咳こぼす

地球儀に戦禍の地あり煤払ふ

根深汁掌にやはらかき木地の椀

富士真白バレンタインの朝晴れて

酢の蔵の小さき天窓日脚伸ぶ

絵付場の玻璃打つ雨や著莪の花

雨音にしづもる窯場竹の秋


年代順か忘れましたが
校正時に一句目と二句目を入れ替えていただいた記憶です。
こうやって振り返ると
何だかあまり成長していないような気も・・・