遠峰集より
筋雲の交差してゐる芽木の空
あたたかや姫の調度の将棋盤
かく細き利休の茶杓春ともし
飛び石を走る少年柳の芽
白波のひねもす尖る春疾風
サンフランシスコの永き日なりけり 岸本尚毅
遅き日のつもりて遠きむかしかな 蕪村
今回より中田喜子さんがアシスタント
岸本尚毅選
珈琲と植物図鑑窓日永 ゲスト推薦
酔うてゐる遅日の交差点あたり 三席
木を抜けば頭に穴の開く日永 落語「頭山」 二席
旅慣れぬ母娘三人暮遅き
象鯨鳴きかはしをり日の永し 若冲の絵
四歳と七十歳の暮れかぬる 一席
七十の妹が掃く落葉かな という句があるが関係性がよくわかる
モジリアニの絵に首まげる日永かな
この方はお会いしたことあり! よく入選されます
日永とて名もなき家事に暮れゆけり
暮遅し端より乾く水溜り 中田推薦
添削コーナー
永き日の大黒天の淡き影 中田喜子
先生:完成度が高いが 永き日や大黒天は影淡く と柔らかく止める 流石です!
タクアンと番茶飛び交ふ花筵 金原亭馬治 長屋の花見
長屋の花見 先生:タクアンと番茶と我ら花筵
永き日や巡礼向かふ尚一寺 投稿者
永き日をゆく巡礼のなほ一寺
遠足が真昼の山に来てもどる 鴇田智哉
霜掃きし箒しばらくして倒る 能村登四郎
入選句
菜の花や父はあとから淋しがる ゲスト推薦
菜の花に向うを向いて人ひとり
菜の花を怒りの色と思ふまで 一席
熱湯に放つ菜花のひらきけり 三席
菜の花に包まれて撮る核家族 二席
帆の向きの来てくださりて宝船
作業着を開け菜の花に食べ終はる 「に」が良い
菜の花やバスの腐食の続く島 岸本推薦
菜の花の野に沈みゆく水晶体 眼球を詠んだ 私推薦