鴇田智哉
右の眼に大河左の眼に騎兵 西東三鬼
蛾は二日エレベーターに留まりぬ
白髪太郎眠りたくない夜のために
ともだちや蛾の鱗粉を嗅がせあふ
大透翅蛾ひかりを吸うて離れけり
壁の蛾の間近に壁を見て居りぬ 三席
太陽の大きなハンコ夏来る 二席
触るるほど顔寄せてなほ蛾のしづか
蛾の止まる電信柱むずがゆい 一席
山手線そつと蹴落とす蛾の骸
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